完全保存版|知らないと損するルアーコーティングについて|メリット・注意点ウレタンコーティング方法まとめ
今回は ルアーのコーティングについて解説させて頂きたいと思います。
ジグなどは 1回の釣行、数十回のキャストでペイントが剝がれ、本体にもダメージを受けるほどです。 ショアジギングにおける厳しい環境下では それが顕著に表れます。
プラグについても フックサークルの傷が釣行のたびに増幅されます。
そして入手困難なハンドメイドルアーや レアカラーのルアーを手に入れたとしても、せっかくのルアーが台無しになると思うと使用することを躊躇してしまうのではないでしょうか。
そのため、大事に使い続けたいと思うからこそ多くのアングラーが、ジグやプラグにコーティングを施しているのだと思います。
今回は,
- まだコーティングをされていない方
- これから試してみたいと思われている方
- コーティングをするとルアーアクションに影響が出るのではと不安を感じている方
- どういう種類のコーティング剤や方法があるのか知りたいという方
のために 実際に私がおこなった経験や、所属するクラブの釣友達から集積した情報を お伝えしたいと思います。
完全保存版|ルアーコーティングについて
まずは順をおって、
- 「コーティング剤の種類」
- 「コーティング方法と注意点」
- 「コーティング剤の特徴とルアーへのマッチング」
- 「実釣による結果」
について 端的に説明させていただきます。
尚、私はルアービルダーではなく、使い手側のトップコートとして 個人的主幹による考察がもとになることを ご理解していただいた上で 参考程度にしてくだされば幸いです。
①【コーティング剤の種類】
コーティングの溶剤についてですが、流用されているものを含めると多種になるため、あえて ルアーコーティング専用の溶剤に限らせていただきます(一部を除く)。
大別すると
- 「セルロースセメント」
- 「エポキシレジン」
- 「一液ウレタン」
- 「二液ウレタン」
の4種類になります。
その他には、UVレジン.マニキュア.車用コート剤 など数多くが流用されています。
②【コーティング方法】
スプレータイプ
一番手軽なうえに短時間でムラなくコーティング出来るので、初めての方でも安心です。 厚みが薄く均一になるので 重ねがけにも適しています。
ドブ漬け
大部分のアングラーが この方法でコーティングを行っていると思います。
いくつかの注意点はありますが、作業は簡単で、その名の通り溶剤の入ったビンにルアーをつけて吊り下げて自然乾燥させます。
数多くのルアーをコーティングすることに適していてオススメです。
リッピング
専用の筆を使用して溶剤を塗っていく方法です。
時間がかかり 難易度が高いです。
筆で塗るため、塗膜に段差が出やすく、乾いた後にサンディングする必要があります。 ルアービルダー向けになるでしょう。
吹き付け
吹き付け専用の機具を使用しないといけないのですが、最も精度の高いコーティング方法といえるでしょう。
このように本格的なコーティングをされている方は、ビルダーを除いては 極少数だと思います。 しかし チャレンジする価値がある方法です。
③【コーティング作業における注意点】
これから挙げる注意点については、どの方法にもある程度は共通していると思われます。
- 最初に作業時には必ず十分な喚起をしながら行ってください。
- そしてコーティング剤を入れる容器にはプラスティック製のものは使用しないでください。溶けて流れ出すので厳禁です。ビンなどの使用を推奨します。
- それと、作業や乾燥工程では溶剤が垂れ落ちるため、段ボールなどの下敷きになるものを敷いてください。
それでは作業時の幾つかの注意点を上げていきます。
○ ルアーのフックやスプリットリングは 前もって全て取り外しておく。
○ ミノーなどのリップやアイの部分には、マスキングテープなどを使用して溶剤を付着させないようにします。 リップに付着するとバランスが崩れ本来のアクションに支障が生じます。 アイに関しても、ラインの結合部やフックの可動域が変わる恐れがあるので注意が必要です。
○ コーティングする前に、必ずルアーの「脱脂」を行うこと。ルアーのボディーにヨゴレや脂分が付着していると コーティングの剝離や変色の原因になります。
○ ウレタン剤などのビンにドブ漬けする際は、使用時のみフタを開け 使用後はすぐにフタを閉めて下さい。 溶剤が空気に触れると硬化していくので、もし粘度が強くなったと感じた時にはその溶剤用の「うすめ液」を少量注入してください。 そしてルアーをつけて引き上げる時は、出来る限りゆっくりと垂直に上げてください。
○ ルアーのヘッドを上にしてコーティング作業を行うことと、ポッパーやダイペン、リップレスミノーのカップ部分には、溶剤を付着させないようにします。 もし付着すると、フチの方から固まり始めるのでカップ形状が変わり 本来のアクションを発揮しなくなります。
○ ルアーの形状に クボミや湾曲がある場合には、余分な溶剤がたまったり 気泡ができないように注意します。
○ 重ねがけをする場合は、必ず同種の溶剤を使用すること。 溶剤によっては浸食性のあるものもあり、混合すると化学変化を起こす可能性があります。
○ コーティングしたルアーは無風状態で乾燥させること。 乾燥時の時間差でムラが発生すると部分的にコーティングの厚みが変わってきます。 そして必ずヘッドを上にして、クリップなどを使い勝手の良い形に伸ばして アイに引っかけるように間隔をあけて吊るしてください。 重ねがけをする場合は、1回ごとに 完全に乾いてからコーティングを重ねていってください。
④【コーティング剤の特徴とルアーへのマッチング】
セルロースセメント
入手しやすく安価である。 劣化しにくいので日持ちし、塗膜の強度が高く、カケや割れの心配がないです。
この液体は下地を侵食して付着するので 密着性はかなり高いですが、その性質上 色流れや色抜けの可能性があります。
汎用性が高いため『ウッド系、プラ系の(プラグ全般)』に適していると思います。 ただ、ロックショアを想定すると 何回か(4~5回)の 重ねがけが望ましいと思います。
エポキシレジン
海外製ルアーの大部分が エポキシを使用しています。
艶がよく、変色もしません。1回のコーティングでも塗膜が肉厚なので 重ねがけも少数回で済みます。 まさに、ソルト向けの溶剤です。
エポキシレジンは『ハンドメイドルアー』に適しているといえます。『ジグ』に対しても、耐久性が一番高かったコーティング剤です。
その反面扱いが難しく、油分をはじく性質があるので 気泡が入りやすく、コーティングする前のルアーの脱脂はしっかりとする必要があります。
1液ウレタン
この溶剤のドブ漬けが 多くのアングラーに使用されています。
『ルアー全般』に汎用性が高く、平均的であることが特徴です。
入手しやすく安価であり、塗膜も肉厚で ある程度の強度も備えています。
その反面 変色(黄変)したり、剝離しやすいので ハンドメイドルアーには不向きであると思います。
しかし、それを差し引いたとしても 作業工程が簡単で短時間、コスト面などを使用頻度から比較すると 十分に納得のいく溶剤です。
2液ウレタン
私の知る限りでは 最も優秀でコーティングに適した溶剤です。
1液型よりも光沢があり、変色もしません。
強度、硬度が セルロースよりも勝っており、肉もち感に優れています。 ウレタン結合をもった塗膜を形成するため、初期の塗膜を長時間保ちます。
この溶剤は 吹き付け方法のみのコーティング作業になるので、段差やムラなどは生じません。性質上、固まりにくい液体なので、乾燥工程が難しいです。 固めるためには温度管理が必要で40℃をキープして1時間ほどかかります。 暑くしすぎると気泡ができるので要注意です。
入手できるメーカーも私の知るところでは1社のみです。 実は私の自宅から車で10分程のところに、この製造メーカーがあります。 昔は関西ペイント?という社名だったと思うのですが、現在は「兵庫ペイント」に社名を変更されていて、車用のタッチペンを主要商品としています。
なので、この溶剤も車用の塗料ということになり、道理で強力なわけだと納得がいきました。 このコーティングを取り入れることができれば『高価なハンドメイドルアー』でも 安心です。
【実釣検証によるまとめ】
個人的な結論を言わせていただくと、
- 『ハンドメイドルアー』『レアなルアー(プラグ系)』には「エポキシレジン」や「2液ウレタン」
- 『ジグ』には「エポキシレジン」
- 汎用性が高く『ルアー全般』には「1液ウレタン」「セルロースセメント」
という結果になります。
他のアングラーの方々との意見交換で、重ねがけの回数を伺い、平均をとった目安になる回数は、1度の塗膜形成で薄いコーティング剤では5~6回行い、肉厚のコーティング剤では3~4回行なうという結果に至りました。
どの溶剤で数回の重ねがけをしたとしても、増加重量は0.1gに達することはなく差異も0.05gの範囲内に収まるものでした。
クラブの釣友達との実釣検証により、ルアーの浮力やアクションに 変化を感じ取れる所はありませんでした。
逆に、コーティングしたことにより フックによるボディへの干渉音が抑えられ、プレッシャーがかかった魚に有効だと感じました。
また トップ系のプラグには使用頻度が増すと浸水を引き起こすルアーもあり、これらに対しては防水効果にもなります。
ウッド製のルアーについても ボディへの損傷による浮力変動が考えられ、そのような事態に陥る前に ルアーコーティングが必要であると思います。
問題はジグですが、検証結果によると 速い潮流での底取りではどうしても着底と同時に強い摩擦が発生するので、40投あたりでコーティングはボロボロになり、ほとんど意味をなさなくなりました。
しかし、着底を感じ取った瞬間にリフトすれば コーティングの剝がれをかなり防ぐことができ、根本にはアングラーの技量向上が必要だと感じました。
どのようなルアーであっても 使い手側のアングラー自身の技術による要因が多分にあると思うのです。
まず自らができること、すべきことを行なう。その上でルアーコーティングというものが 意味を持ってくるのだと、実釣検証をしながら感じました。
使用ルアーコーティング剤
今回、私とクラブの釣友達が ルアーコーティングに使用したアイテムを下記にて紹介させていただきます。
【セルロースセメント】
セルロースセメントEX 500ml (東邦産業)
セルロースセメントDX (オフィスアクセル)
セルロースクリヤー500㏄ (ナガシマ)
【エポキシレジン】
エポキシコートセット (東邦産業)
エポキシハンドレッドコート クリヤー 60㏄ (ナガシマ)
【1液ウレタン】
スーパーウレタンコートX 400ml (オフィスアクセル)
ウレタンコートLR+ 700ml (オフィスアクセル)
ウレタンコートMJ+ 700ml (オフィスアクセル)
ウレタンフィニッシャーEX 200ml (東邦産業)
超ケイムラフィニッシャーEX 200ml (東邦産業)
【2液ウレタン】
2液性ウレタン クリヤー・硬化剤200㎖ (HYOGO ペイント)
筆者プロフィール
HIDE’s article