真冬の巨大ヒラマサ捕獲までの一部始終|潮岬地磯クレ崎のトバナ・ロックショアキャスティング釣行
今まで何度かチャンスはありましたが、目の前まで来て手が届かず涙をのんできました。
そして、メーターオーバーのヒラマサを釣りあげることが仲間内での共通の目標でした。
気が付けばその目標を達成できていないのは私だけになっており、こういうことは運頼みで半分あきらめていました...(泣)。
それが釣友からの一報で目標達成への期待が高まったのです。
年が明けて1月中旬、釣友から連絡があり、潮岬の地磯で104㎝のヒラマサを釣り上げたということでした。
詳しく聞いてみると、1週間ほど前から黒潮が潮岬をかすめるように流れており、良い上り潮が入っているみたいです。
水温も2℃ほど上がり、ベイトも豊富でかなり活性が高い状態だそうです。
例年のパターンだと黒潮に乗って回遊してきた魚が、潮岬の群礁に着きだすのは2月後半あたりなので1ヶ月くらい早まっているようです。
この時期、磯周辺に着くヒラマサは数が少ないものの大型で、着きはじめが一番の好機になります。
私も出来るだけ早く釣行予定をたてようと釣友に連絡を取り、3日後にその予定を組みました。
今回は潮回りや水温・ベイトなどの良い条件がそろっているので、釣友も私もメーターオーバーのヒラマサを狙って獲りに行く気満々で、気合を入れてポイントを決めました。
その釣行先は、本州最南端の地磯でありショアジギング青物狙いでの№1の実績場、
「潮岬・クレ崎のトバナ」です。
しかも、1泊2日の車中泊りで2日間にわたって超本気モードで狙います。
過去、この地磯には2回ほどエントリーしており、ヒラマサやカンパチなどの良型を獲っていますが、「トバナ」へ行くにはかなりハードで、途中に危険な難所も数ヵ所あるのでこの地磯へエントリーする機会はあまりありませんでした。
それに北西が吹くと、すぐに時化てくること、最も注意が必要なのは南からの風で、海況が急変し大きなウネリを伴う高波が押し寄せます。
即、撤収しないと命の保証はありません。
ただ海況が安定しておりエントリー出来れば沖磯を軽く上回るような釣果が望めます。
黒潮が接岸していると、目の前に2層の潮目ができ、川のように潮が走ります。
そして、その潮目で食ってくる青物は、他より一回りも二回りも大きく、格の違いを見せつけられます。
それもそのはずで、「トバナ」から右手を見ると
- オサエツケ
- エボシ
- オオクラ
- コメツブ
- コメツブのコジ
- その向こう側には「ドウネ」
- アシカ
と、潮岬の名だたる名礁がズラリと連なっています。
「トバナ」はこれらの名礁と同様のポテンシャルを誇る最強の地磯です。
現に、去年は確かな情報元だけでもイソマグロ、キハダマグロが計4本(メジを除いて)上がっています。
今回もマグロとまではいきませんが1mを超える大型青物とも十分に渡り合えるタックルで挑みます。
- ロッドは9.6ft・HHタイプ【ゼナック デフィーミュートス 96HH】
- リールは5500番【ダイワ ソルティガ EXP 5500】
- PE5号
- リーダーは100lb~120lb
のセッティングです。
そして今日は足場が高いので、6mのズームギャフを用意しています。
それと、釣友が前回メーターオーバーのヒラマサを上げた時の状況では、ジグや表層系のペンシル、ミノーでは全く反応がなくポッパーでさえも好反応とは言えなかったようで、唯一食いつきがよかったのはダイビングペンシルだったそうです。
しかし同じダイペンを5、6回通すと、波動が同一で見切られるのか極端に反応が鈍くなったようで、彼は少数しか用意していなかったダイペンを何とかヤリクリローテしてバイトに持ち込んだそうです。
そして迎えた釣行初日、相当に意気込んでエントリーすると、釣り座に立ったしょっぱなから北西の嵐。
海況は大シケ、それでも風のやみ間に必死でキャストを繰り返し、かなり粘っては見たものの初日はノーバイト。(あるあるです...泣。)
車に戻り、明日の気象情報を確認すると、今夜から明け方にかけて徐々に北西が緩み、波もおさまる傾向にあると解ったので、体力を全回復するため「QPゴールド」を2錠のみ、早めに就寝することにしました。
翌朝、起床してすぐ海況の様子を確認すると、北西は大分おさまり、波もウサギが少しはねてる程度なので一安心しました。
早々に準備を終え、釣り座に入ると前方、沖100mあたりにクッキリとわかる潮目ができています。
その潮目から向こう側は海色が真っ黒で、黒潮の接岸状況がはっきりと確認できます。
予定通りにダイペンをローテーションしながら潮目付近を重点的に攻めていきます。
実はここ最近、自分の釣りのスタイルが変わってきました。というか変えました。
主にルアー、ジグアクションのつけ方やファイトスタイルです。
自分の場合、ワンピッチショートジャークで連続してシャクッた後に「クワセの間」を入れていました。
事実、そうされているアングラーの方も少なくはないと思います。
私が変えたというのは、直接的なアクション(ワンピッチジャーク)はそのままで「クワセの間」を入れないようにしたのです。
私がそうする理由は、あくまでも釣る側の人間がその「間」があった方が、より喰わせやすいのではないかと勝手に予想した結果だと思うのです。
実際にその方が良いのかもしれないです。
でもこれって自然界にはない動きですよね。
わざわざベイトとなる魚が自分が食べられる「間」を作ったりしないと思うのです。
それに捕食する側の青物も、食べる事が下手というのであれば、あんなに大きく成長しないだろうし、生きていけないと思います。
青物がチェイスしてきてミスバイトしたと思っているのは、おそらくバイトの寸前でルアーを見切ったのだと考えています。(青物はド近眼で、目の前50㎝~60㎝でようやく形を認識します。)
ですから今は、「喰わせの間」は別に必要ないと考えてジグアクションの中に組み入れていません。
それともう一つは、ファイト中のリーリングです。
特に大型青物と対するときには、「綱引きファイト」「ゴリマキ」でのファイトスタイルでした。
獲る確率を上げるために最も重要なことは、ファイト時間の短縮化です。
大型のヒラマサを相手に時間をかけていると、先手を取れなかったり、根にまかれたり、獲れる確率が一気に下がります。
私も何度かメーターオーバーのヒラマサを目前にしてバラした経験があり、いろいろ悩んで比較してみました。
ポンピングファイトの優位性
まず決定的に断言できることは、「ポンピング」の方が圧倒的にファイト時間が短いということです。
「ポンピング」はテンションが抜けてバレやすいと言いますが、リーリング時にロッドを倒す際、巻き取る分だけ普通に倒せばテンションが抜けることなく何も問題はありません。
それに対し「ゴリマキ」すると、ロッドやリールがかなりブレます。
このブレは魚が大型になればなるほど、フックアウトにつながる危険性がありますし、リキんでいるため体制が硬直して、いざという時の魚への対応が遅れます。
そして「綱引きファイト」は文字通り一直線になるので、ロッドのタメやネバリを全く生かせません。
私はこれを踏まえた上で、テンションが抜けないようにだけ注意して「ポンピング」スタイルに変更しました。
案外、いつも何気に基本だと思い込んでいることが根拠がない?事が多いのだと思います。
それが正しいとか間違っているとかは別にして、他にも思い込みが多々あるのだろうと自分自身で感じています。
これからは、その様な事も掘り下げて見直していければ少しでも良い釣果が期待できるのではと、たくらんでいます...(笑)。
昨日の影響が残っているのか、午前中までヤズとメジロの2本のみ、とっても貧果…(笑)
お昼過ぎから北西が多少吹き始めましたが、海面がざわつく程度で雰囲気は悪くはないです。
しかし、何か違和感を感じて目を泳がせていると、なんとまぁ朝一から足元で元気に泳いでたベイトの皆さんが影も形も見当たりません。
ベイトがいなければお話になりません。
さすがに焦ってきて、迷子のベイトを必死で捜索します。
沈んだのか、移動したのか、海面を順に追っていきます。
潮目の本流筋の脇、反流転、引かれ潮との合流点。
すると「トバナ」の左手に「アカサキ」という地磯があり、その間が大きなワンド状になっているのですが、丁度そのワンドの入り口と潮流との境目に迷子らしきベイトの気配を発見しました。
この釣り座からはキャストできないので、すぐに移動して本流筋から攻めていきます。
ダイペンにイレギュラーなアクションを織り交ぜて、動きが単調にならないようにアピールします。
数回キャストするも反応がないので、次はワンドの少し奥をベイトが散らないように控え目なアクションで探っていきますが、やはり同じく反応なし。
ここで本命ポイントを打ちます。念のためドラドスライダーにルアーチェンジして一呼吸入れます。
こんな空気感の時って、何となく予感めいたものを感じますよね。
潮の流れ、潮目、波気、ベイトの動き、来るとしたらココしかないと感じます。
潮目のカベの海面下1m~2mを狙います。
ルアーの着水点をベイト群から離れた奥へ定め、正確にキャストし、潮のカベに添わせるようにトレースします。
カベには、必ず潜り潮が効いているので、それをとらえて深度を下げていきます。
ルアーのアクションは、海面下1mの位置で少しラインを張り、頭を持ち上げている姿勢をとります。
ベイトが潜り潮に吸い込まれないように抵抗しているイメージです。
ド派手なアクションはせずにゆっくりリトリーブして、張りに気を付けて1m下~2m下の間を保ちます。
私が潮のカベを狙うときにはいつもこの手法をとります。
この手法をとることにも理由があり、海面から近かったり、少し出たりしているルアーを食わせるより、完全に海中にあるルアーを食わせる方が魚からしても捕食しやすく、ミスバイトの軽減につながるからです。
潮の重みを感じながらトレースしていき、丁度、ベイト群の際にさしかかろうとした時、ベイトがザザッと弾けて消えていき、後方、斜目下から黒い影が浮かび上がったのが見えた瞬間、ルアーが視界から消え去りました。
ドラドスライダー14F平政チューンを丸のみされました。
ココで来るっという予感は感じていました。
青物だけではなく、グレでも同じような予感を感じます。
元々はグレのフカセ釣りで多用している手法なので、青物や他の釣りにも応用が利きます。
この感覚は 長年の経験で身についているので、このバイトも気配から予測でき、一呼吸ほどの余裕がありました。
が、そのアドバンテージは一気に消え去りました。
バイトの瞬間の衝撃だけで、この魚が普通ではないことがわかり、暴力的なスピードと重量感が襲ってきました。
久しぶりに大型青物をかけたので(何を隠そう 今日までまともなサイズの青物をかけるのは、2ヶ月以上ご無沙汰でした...笑。)驚きましたが、気を取り直して冷静に対処します。
それにしても強烈なファーストラン。
ドラグ力15㎏フルロックでもジリジリとラインを持っていかれます。
やっとの思いでタメが効く角度までロッドを起こしてきます。
ここからはタックルの性能を存分に発揮させて魚のスタミナを削いでいき、ロッドを限界近くまで曲げます。
相変わらず気持ち良く曲がってくれます。
しかし、魚はまだ完全に底を切っておらず、一番危険な左下方向にある沈み根に突っ込んでいきます。
ここでラインを出せば一発で飛ばされるので、腰を落として重心を下げ、のされないようにロッドを寝かせ、魚の突進力を吸収させます。
こうすればマグロでもない限り何とか持ちこたえられます。
ギリギリのところで魚を沈み根の上に持ってこれたので一安心と行きたいのですが、ここからが要注意で気を抜けません。
先程、一瞬浮いた時、メーター近いヒラマサに見えたので最後の悪あがきに備えます。
大型のヒラマサは、わざとすんなり浮いてくることもよくあり、体力も十分残したままスキができるチャンスをうかがっているのです。
それが分かっているので多少強引でも全力で一気にランディングまで持ち込みます。
足場が高いのであらかじめズームギャフを調整して伸ばしておきました。
なので、慌てることもありません。
浮いてきたヒラマサを見ると何かデカい。
水中だからかなと思っているとやっぱりデカい。 今までに釣り上げたヒラマサとは比べ物にならない程です。
拡大コピーしたかのように全ての作りがデカい。(貧相なたとえですみません...笑。)
この魚を見た時に一瞬動きが止まりましたが、勢いでいきま~す。
先にギャフを魚の死角に沈めて置き、渾身の力でリフトアップしてギャフの上まで誘導します。
ここまでで腕が限界寸前、最後はヒラマサのエラから口のカンヌキまでに狙いを定め、突き刺さるインパクトの瞬間、引き抜くようにブッ刺~す。
確かな手ごたえがあり、引き上げる前に刺さりどころを確認します。
丁度、エラの下部と下顎との中間あたりにかなり深く刺さっています。
さすがに魚は大暴れしますが、この部分に刺さっていれば引き上げる途中に外れることはまずありません。
私がギャフを使ってランディングする時はいつもこんな感じです。
一か八かで雑に見えますが、自分にとっては最も確率が高い方法なのです。
とにかく魚が浮けば、海面を滑らせてでも強引に速く引き寄せて、先に沈めておいたギャフ上まで持って来て、エラより上部であればどこでも良いので流れを止めずにそのままの勢いで躊躇なく突き刺す。
いつもスムーズに行くとは限らないですが、次の動作を考えてから行動すると魚にも反撃のチャンスを与えることになるので、自分のとる行動がブレないように決めておくことにしています。
それにしてもデカいし、重たいです。
最後まで暴れまわって上がってきたのは、余裕でメーターオーバーのオオマサです。
体高のある大型のヒラマサ。
スピードも、パワーも、申し分なく、「キングフィッシュ」と呼ばれるゆえんですね。
ヒラマサ・107㎝。やっと 手が届きました。
このヒラマサを獲れたのは運なのだと思います。
青物の中では、最もズバ抜けて頭が良く、底の根が荒ければ荒いほど力を発揮し、一筋縄ではいかない最高のターゲットです。
幾つもの条件が重なり、タイミングやアングラーの経験値が同調した時でないと釣りあげることができない魚だと思います。
運が味方したとはいえ、このヒラマサを今、ここで獲れたことは素直に嬉しいです。
ずっと奥のほうに引っかかっていたので、これでようやく...。
皆様も 自分なりの目標を立てているのでしょうか。そしてその目標は達成できましたか。
では また。
【HIDE’S TACKLE】
- ロッド ゼナック デフィーミュートス 96HH
- リール ダイワ ソルティガ EXP 5500
- ライン バリバス アバニジギング10 ×10マックスパワー⑧PE5号
- リーダー バリバス ショックリーダーフロロ 100~120LB
- ギャフ ゼナック デフィーミュートス キャプチャー20F ZOOM
- ルアー(ダイビングペンシル)
ホッツ・タイドベイトサーディンF150
ダイワ・ドラドペンシル14F平政チューン
マリア・ローデッドF180
スミス・ベビーランボーF145
バレーヒル・デコペン160F
バスディ・シュガペン120F
スカジットデザインズ・パニックペンシル185
テイルウオーク・ナチックスリム170
アングラーズリパブリック・リデル175F
デュエル・サーフェススライダー140F
猛闘犬丸・猛ダイブ丸16F-MG,18F-MG
ボブアーツ・ボブリッパー190F
レプトン・早掛王180
セブンシーズインターナショナル・ヴァルキュリアFペンシル170
筆者プロフィール
HIDE’s article.
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